アメリカのジョー・バイデン大統領は2024年5月1日の夜、選挙資金集めのイベントで、日本とインドに「外国人嫌悪」があり、「移民を受け入れたがらない」と発言しました。このイベントでは、ロシアや中国と並べて日本とインドが挙げられ、「自由と民主主義」が問われる今年11月の大統領選において、アメリカの移民を受け入れる姿勢を強調しました。 インドにも日本にも生活していた一個人からのコメントや考察を記述する。
移民の定義、時々話題に上がる特定技能制度についても記述する。
そもそも 外国人嫌悪とは ゼノフォビア(xenophobia)
外国人嫌悪(がいこくじんけんお)または外国人恐怖症(がいこくじんきょうふしょう)は、外国人や異民族と見られている人や集団を嫌悪、排斥あるいは憎悪する気質を指す。 「きわめてあいまいな心理学的概念」。 ゼノフォビア(xenophobia)の訳語で、「外国人嫌い」などと訳される場合もある。
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
今回バイデン大統領の発言は多少の意味の履き違えもあったような気がするので、ゼノフォビアというワードについては別途記述したいと思う。
マクロ視点:移民や特定技能制度について 日本
移民の定義とは
移民の定義は非常に広く、国連の経済社会局では「居住国を変更した人々」を指すとしている。3カ月から12カ月の滞在は短期、1年以上は長期とされ、外国人技能実習生も「移民」の一部と見なされる。
特定技能の定義とは
外国人技能実習生は、技能実習制度のもとで、日本の技術を学ぶために報酬を得ながら働く外国人労働者。1993年の制度開始以来、最長5年の滞在が許可され、日本で学んだ技術を母国に持ち帰り、その経済発展に貢献することを目的としている。実習生の目的はあくまで技術習得であり、「安い労働力」ではない点を理解する必要がある。
技能実習制度もあるが、今回は割愛。
日本政府とのギャップ
2018年に安倍政権のもとで入管法が改正され、日本はそれまで以上に数多くの外国人労働者を受け入れているが、「しかしそれは“移民政策ではない”」というのが日本政府の公式見解があった。
国際移住機関(IOM)の定義では、移民とは「本人の(1)法的地位、(2)移動が自発的か非自発的か、(3)移動の理由、(4)滞在期間に関わらず、本来の居住国を離れて、国境を超えた、あるいは一国内で移動している、あるいは移動した、あらゆる人」を指す。これに照らせば、日本の外国人労働者のほとんどは立派な移民だ。 実際、日本政府はやはり2018年、移民の権利保護を定めた国連移住グローバル・コンパクトに署名した。つまり、「日本は“移民”の権利を保障します」と海外に向かって約束したのも同じだ。 ところがその一方で日本政府は、国内向けには「永住権をもって、場合によっては家族同伴で定住する者」という極めて狭い定義で「移民」の言葉を扱い、「外国から労働力を一時的に受け入れているに過ぎない」という極めて内向きの建前を崩さない。
マクロ視点:移民などについて インド
インド政府も「インドが移民を受け入れたくないという見解は『不正確』だと指摘した。『インドはこれまでも、バングラデシュなどの貧しい国からの低賃金労働者にとっても、高収入の外国人にとっても、魅力的な目的地だ』と語った。」
私もインドの受け入れには感謝するし、モディ政権でも外資の規制緩和をするなど、外国人、企業に対しても様々な政策を行なっている。
ミクロ視点 生活面から考えてみる
日本での生活
外国人増えてきた印象がある。ただ、これは旅行インバウンドの影響が多く、バイデン大統領の移民とは違うことを意味している。確かに移民に対しては抵抗感があるのはわかる。知人でも嫌がる人はいた。
特に、技能実習制度や特定技能に関してはあまりいいイメージを持たられていないと思う。ただ、日本政府としてはどんどんこれらの制度を普及し、日本の労働人口問題に対応していきたいようだ。
個人的には特定技能や技能実習よりあらゆるサービスの自動化に注力するべきと考える。とてもいい時期にきていると思うのだが。人がしなくてもいい仕事を人がしている、外国人労働者に任せている。 技術進化をとどめてしまっている。
インドでの生活面
生活している時に主にインドの都会ムンバイやバンガロール、デリーといった大都市に拠点を持ち仕事をしていた。そこで感じることは、特に外国人嫌悪ということをほぼ受けたことはない。ビジネスでも平等に扱ってくれるし、尊敬を向けてくれている。 観光地に行くと写真を撮ってくれなどのリクエストを多々貰った。それだけ人口が多い国だと、外国人に接する機会がない人も多いのだろう。
もちろん大都市にいると、インド人以外の外国人に会うことも多々ある。
もちろん、巨大国家のほんの一部としか接することしかできないし、知れないのは事実だ。ただ、経験上は特に外国人嫌悪を受けたことは特段ない。あったとしても忘れる程度のことだったのだろう。
歓迎されているのか、カモにされているのか。
インドで生活しているとインド人の営業力には凄まじい力を感じる。道でもビジネスでも容赦なく物を売ってくるし、電話してくる。話をあまり聞かず、ずーっと話し続ける。この営業力は凄まじいし、日本人は見習う点だと思う。ただ、これを強引にやるのは日本社会で100%嫌われる。
最後に
今回のバイデン大統領の発言は支持率が伸び悩む中で、出席者の支持を得るため「移民の受け入れは重要」というメッセージを盛り込んだのは明白である。しかし、中国やロシアと同列に扱われたことに対し、日本やインドで反発が生じたのも理解できる。
バイデン大統領の発言を簡潔にまとめれば、「アメリカの繁栄は移民の受け入れがあるからこそ」ということになります。移民が経済にとって重要な存在であることは間違いありません。
しかし、移民受け入れは経済成長の要因の一つに過ぎません。日本の経済問題は移民政策だけで解決するものではありませんし、少子高齢化も移民が原因ではありません。インドの経済問題も移民だけで解決できる問題だけではない。
アメリカの歴史を振り返れば、移民を受け入れながらも世界恐慌やリーマンショックといった経済的な混乱が発生しました。移民と成長の関係は単線的なものではなく、あくまでバイデン大統領の発言は支持者向けの政治的アピールと見なすべきだろう。
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