2026年8月7日、イェ(カニエ・ウェスト)がポルトガルのアルガルヴェ・スタジアムで「Bullyツアー」の最終公演を終えた。全公演を通じて印象的だったのは、アルバム「Bully」収録の「FATHER」や「BEAUTY AND THE BEAST」が、公演を重ねるごとにアレンジや演出を変化させていったことだ。ツアーを完走した今、あらためてこの2曲がどう”育っていった”のかを振り返りつつ、次回作の方向性を予想してみたい。
「FATHER」はツアー後半でよりミニマルな演出に
当ブログでも詳しく取り上げた「FATHER」は、父性や後悔をテーマにした内省的な楽曲だが、ツアー後半になるにつれてステージ演出が引き算されていく傾向が見られた。序盤の公演では大規模な照明演出が中心だったのに対し、終盤のヨーロッパ公演では照明を絞り、イェ本人の声に焦点を当てる構成に変化している。テーマの重さに演出を合わせにいった、という見方ができる。
「BEAUTY AND THE BEAST」は東京公演がひとつの転換点
東京のホテルで生まれたとされる「BEAUTY AND THE BEAST」は、もともとツアーのセットリスト後半に配置されていたが、アジア圏公演以降は中盤に移動し、MC(観客との掛け合い)を挟む形に変わった。この曲が持つ”内省”というテーマと、観客との対話を組み合わせることで、単なる名曲披露ではなく「その場でしか成立しないライブ体験」に仕立て直した印象を受けた。
筆者の考察:海外ツアーは「現地の反応」で曲が変わる
筆者はインドで生活する中で、海外アーティストの現地公演が日本や欧米の公演と全く違う空気になる場面を何度も見てきた。観客の反応の熱量やコール&レスポンスの文化が、アーティスト側の演出判断に影響を与えることは珍しくない。今回のBullyツアーでも、公演地ごとの観客の反応に応じてセットリストや演出が細かく調整されていたと考えると、単なる「同じショーの使い回し」ではなく、各都市とのライブなやり取りの記録として2曲を聴き直す楽しみ方ができる。
次回作はどうなる?「YEEZY 800」始動が示す方向性
ツアー最終公演と同時に始動が発表された新スニーカー「YEEZY 800」は、音楽活動とプロダクト展開を連動させるイェ(カニエ・ウェスト)らしい動きだ。過去の傾向を踏まえると、大型プロダクトの始動はしばしば次作のプロモーション期と重なっており、「Bully」の次のフェーズとなる新曲・新アルバムの発表がそう遠くない時期に来る可能性がある。当ブログでも続報が入り次第、考察を追加していきたい。
まとめ
Bullyツアーの完走を通じて、「FATHER」と「BEAUTY AND THE BEAST」はいずれも公演地・時期によって表情を変え続けた楽曲だったことが見えてきた。ツアーというライブな場で楽曲がどう育っていくかという視点は、スタジオ音源だけを聴いていては気づきにくい面白さがある。次回作の動向も引き続き追っていく。


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